小さな会社と自営業者のための経営診断
地方の小さい会社と自営業者を応援する経営コンサルタント  伊東コンサルティングオフィス
      中小企業診断士  伊東 伸
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■お客さまとの接し方 01 

■1.はじめに


小売業やサービス業に限らず、どんな業種でもお客さまに相手にしてもらえない状況になれば、否応無く廃業の道を辿ります。「最初から何をあたり前のことを」とお思いになるでしょうが、では、お客さまについて、毎日どれだけ考え、また実行されておられるでしょうか?

事業を考えるとき、ほとんどの人は、「この商品(サービス)をどうやって売るか?」という方向から検討を始めます。この考え方は、商品そのものの魅力を事業の中心としている考え方です。ですから、極端な言い方をすれば、「お客さまは誰でもよい。」のです。

都会で商圏内に見込み客がたくさんあるケースや、規模が大きい事業をされているケースでは、このような考え方でないと、費用対効果を最大にすることはできません。また、目先の売上を求めるのであれば、考え方などを気にするより、販売に要する時間を増やした方が効果的でしょう。

しかしながら、小規模事業者の多くの方、地方で頑張っておられる事業者の方にとっては、お客さまの総数には限界があると考えるのが自然です。

小さい商圏の中で長期に亘る事業の繁栄をもたらすには、ひとりひとりのお客さまを大切にしていくことが必要になります。ですから、単に商品そのものを売るのではなく、「あなたの取り扱う商品を買っていただく」、「そのためにはお客さまとどんな付き合いをしていけばいいのか?」という考え方が大切なのです。

これからお話する内容は、主に小売業やサービス業を営む小規模事業者の方がお客さまにどのように接していくべきか、ということが中心です。少しでもあなたの参考になれば幸いです。

     

■2.お客さまの事情


ひとりひとりのお客さまを大切にする基本は、お客さまの事情を十分に理解することです。お客さまの購買意欲は、性別や年齢、あるいは収入により大きく異なりますので、一般的な特性と自分の商圏内の特性を知ることが大切です。


(1)男性と女性

男性と女性とでは思考も行動も異なります。
一般に、男性は「目的買い」が多いとされています。また、過度に「仕様」にこだわる面があり、買った理由を尋ねると、理屈をこねて説明する傾向があります。

一方女性は、「衝動買い」が多いとされています。また、「仕様」だけでなく「イメージ」を大切にする傾向が強くなります。

ただし、これは「自分のために買う」場合の感覚だということを押さえておかないといけません。購入される目的の半数以上は、自分のために買うのではなく「誰かのために買う」場合です。この場合は、男女の差はあまり出てきません。むしろ、個人の性格や金銭事情が重要視されることになります。

小売業やサービス業など生活に関連した場面では、多くの場合女性が主導権を握っています。だからといって、すぐに「女性が購買者だからイメージ重視だな。」と、イメージの良い店頭演出を試みてもうまくいきません。

例えば主婦が購買者の場合、家族で使用するものなら価格や品質を、女性が使用するものならイメージを、それぞれ提供する商品に応じた演出を使い分ける工夫が必要になってくるのです。


(2)若者と年配者

一般に若者は「変化」を好み、年配者は「落ち着き」を好む傾向が強くなります。商品を提供するあなたの視点からみると、若者はリピート率が少なく、年配者はリピート率が高い、ということになります。

この点に着目すると、例えば、若者向けの商品を提供する場合は、流行品を中心に商品の回転を早くしたり、イベント等や売場演出などによる眼でみえる変化を継続していくことが必要になりますし、反対に年配者向けの商品を提供する場合は、需要の多い基本的な定番商品を中心におき、その他の部分で少しずつ変化をさせていくことが必要になります。

お客さまの年齢に関しては、一般にはこのようなことを理解しておけばいいのですが、具体的にはあなたの商圏内の住民構成がどうなのかによって、大きな問題を孕んでいます。

つまり、持ち家の多い住宅地が商圏内にあるなら、お客さまは毎年確実に年を重ねていくことになりますから、あなたの事業も同じように年を重ねていけばいいのですが、若者の多い街や新婚世帯の賃貸住宅が多ければ、あなたが若い感性を維持していくことが求められます。


(3)その他


お客さまの事情を説明する例として、男性と女性、若者と年配者という2つの例を示しましたが、これ以外にも、収入や競合者の状況など、商圏内にはさまざまな特性があります。

小売業やサービス業を営む小規模事業者は、お客さまの生活を潤わせることに存在意義があるのですから、地域の住民特性に合わない事業では、繁盛することはもちろん、生き残っていくことさえ難しくなります。
 
とりわけ、親から事業を受け継いだ場合や、出店して何十年も経過している場合には、その事業がもはや商圏内の住民特性とズレているため、いくら努力しても業績に反映しないというケースが往々にしてあります。
 
また、業績はまずまずであっても、お客さまが喜んで購買されているのか、他に選択肢がないので否応なく購買されているのかとでは、今後の繁栄に天と地ほどの差があります。
 
あなたの商圏内に存在するお客さまの特性を知ることは、小規模事業者がやらなければならない第一歩なのです。
  
 

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