|
さて、今日はコンサルティングの初日。山田さんも花子さんも、心なしか緊張気味です。そして、約束の3時。
伊東 こんにちは!
花子 あっ!先生、お待ちしておりました。
一通りの挨拶も終わり...
伊東 最初に、現況を教えていただけますか? ここ数ヶ月の売上はどうなっていますか?
山田 正直、あまり、芳しくないです。
伊東 あまり、というと?
花子 先生、これが先月までの損益です。 で、今月はこのノートに売上を転記しています。
伊東 ちょっと、拝見しますね。
5月までが1100万、6月が180万ですか。
で、粗利が32%。
経費は、電気や電話が5万、税理士さんが5万、
その他が10万で20万。
あと、広告宣伝費が月平均5万だから、
合計すると、25万が経費ですね。 それと人件費ですが、これは?
花子 義父さんと義母さんらの分です。
5月までは毎月10万円でしたが、
今月から7万円にしてもらいました。
それと、税理士は来月で終わりにしています。 帳簿は私がつけることにしました。
伊東 なるほど、そうですか。
税理士さんの顧問料は7月まで。
あとは生活費ですよね。 失礼ですが、生活費はどれくらい必要ですか?
花子 年払のものや税金などもひっくるめると、 だいたい、月30万は最低限必要です。 万一のこともありますから、もっと欲しいですけど。
伊東 それと借入金の返済が毎月15万円ありますよね。 これは?
花子 借り入れは国民生活金融公庫と信用金庫です。
義父さんに聞いたら、以前に別の店舗、
今は閉めて無いですが、そのときに借りたもので、
まだ3年ほどあります。
伊東 なるほど、そういうことですか。
そうすると、それを毎月返済するとして...
経費が25万のところに、税理士の分が減って僕の分
が増えるから22万。
あと義父さんらに7万と生活費に30万、
返済に15万、の合計74万円が必要なんですね。
もちろん、それ以上に越したことはありませんが。
山田 74万、ですか?
花子 お父さん、何よ。そんなにビックリして。
2店舗あったときは、もっと多かったでしょ。
山田 いや、改めて現実を見ると、大きいなあって。
伊東 で、この74万を今の平均の粗利率で弾くと、
74万割る32%ですから、231万。 これが、必要な売上高になります。
山田 231万か。今月は梅雨で厳しかったけど、
5月までの平均が220万だし、いける金額だな。
伊東 年平均ですからね。
たとえば、今月は180万ですから、50万円を
どこかの月で上乗せする、ということですよ。 それと、これはあくまでも最低限です。
万一のことや余裕を考え毎月80万必要なら250万。
90万だと281万円必要ですよ。
山田 281万円平均ですか! それはちょっと... それだけ売れたら、もう大喜びです。
伊東 それには、智恵を絞らないといけないですよね。
それに、90万でも粗利率が35%なら257万円です。
山田 先生、そういっても安くしないと売れませんよ。
伊東 それは前にもお話したように、工夫が必要です。
毎月同じ仕入先から同じように仕入していて、
シーズン初期には定価で並べて、
シーズン末期にバーゲンをやっていたのではダメ。
ぼったくりはダメですが、適正な利益をいただく
ためには、安い、と感じていただくような仕掛けや
工夫が必要です。
山田 たとえば具体的には...
伊東 そうですね。
たとえば3900円の薄手のブラウスがありますよね。
これがたとえば30本あったとしたら、
最初は3900円でそのまま売って
売れなかったら20%オフ、50%オフというのが
一般的ですよね。
山田 はい、ウチもだいたいそんな感じです。
伊東 ところが、売れないから安くする、っていうのは
お客さんもわかっていることです。
その頃になると、競合も同じようにしますよね。
そうすると、こっちは原価割れと思っていても、
お客さんにしたら、どうせ売れ残りなんだったら、
もっともっと安く、って思います。
そうなるのであれば、もっと早い段階、たとえば
シーズンの最初から10%オフで提示するとかね。 そうすると、トータルでは粗利は多いですよね。
山田 えっ!
そんなことをしたら、せっかくの儲けが勿体無い。
伊東 売れ残らずに捌けるのであれば、そうですよ。
でも、売れ残って処分に困るんだったら
ちょっと違いますよね。
まあ、実際にはもっといろんな方法を
組み合わせてやります。あくまでも、考え方です。
粗利を増やすには、
単品毎にまったく同じ粗利率を稼ぐのではなく、
総合的な粗利高、つまり合計の粗利金額、を
意識してやらないと。 スーパーの目玉商品と一緒です。
山田 目玉だけ買う人もいますが...
伊東 だから、総合的に考えないと。
単品だけで考えると、そういうお客さんも
おられるし、損したって感じるかもしれませんが、
トータルではプラスになるんですよ。
花子 目玉商品につられて、
他の商品を買う人の方が多い、ってことですよね?
伊東 まあ、そういうことです。
えーと、じゃあ次に来店数の現状を見てみましょう。
レジ客数はどうなっていますか?
山田 だいたい平日だと30人くらいです。
休みは倍とはいいませんが50人くらいです。
伊東 人数は記録していない?
山田 レジの記録を見たらわかりますけど...
伊東 そうですか。
お店の商品を見る限りでは、高そうなので、 もう少し人数は少ない感じもしますけれど。
花子 お父さん、来てくださっても買わないお客さんも
いるから、もう少し少ないってことはない?
って尋ねられてるんだよ。どう?
山田 どう、っていわれても。
伊東 今は時間もないですからいいですけれど、
今年の分くらいは、後でレジのデータから
全部拾っておいてください。
山田 はあ、そんなことしたことがないですが。
伊東 売上って、お客さんの人数と単価じゃないですか。
でも、単価は商品の品揃えをごろっと変えないと、
そう一気に変わるものでもありません。
となると、どうやってお客さんの数を増やすか。
当然、時期による違いもあるし、天気でも大いに
変わります。
お客さんの好みもありますしね。
そういったことを毎日記録しておいて、って
この間花子さんに説明したと思いますが。
花子 お父さん、今月からつけてるでしょ。
山田 ああ、あれはきちんとやってる。
伊東 毎日業務日誌をつけてみて、
何か気が付いたことはありませんか?
山田 まだ1週間ほどしかやってないですし...
でも、この系統が売れた、とか、アカンなあとか、
日誌に何か書こうと思い出すのはいいことやな、
って思ってます。
伊東 そうですね、そんなこともメリットの一つです。
これから、花子さんもお店に出るようになれば、
お互いの視点からになりますから、
もっと一杯気付くことがありますよ。
花子 それは、私も書くということ?
伊東 いやいや、書くのはどちらか1人でいいです。
大事なのは、毎晩2人であーだこーだと
お話をされることです。
花子 2人で相談ですか。
伊東 そしたら、次は7月の売上目標を見せてください。
山田 これになります。
伊東 7月合計で250万円、週別はこちらですね。
で、どうやって250万円を売る予定ですか?
山田 といわれても....
一応、去年の実績が230万円です。
梅雨も終わって夏物を買いに来られる方が多いので
それをアテにしています。
セールは8月に考えています。
伊東 季節要因ということですね...
花子 先生、遠慮なさらずに、
ズバッと仰ってくださっていいんですよ。
ウチの人は、言われないとわからないので。
伊東 遠慮している、というわけじゃないですが。
山田さん、以前花子さんにお聞きしたときには、
昨年より悪いと。
以前からのお得意さんが減ってきて新規もない。 傾向はそういうことですよね。
山田 はあ、確かにそうですが...
伊東 となると、こちらから何かを仕掛けない限り、
昨年以上にするのは難しいですよ。
お客さんまかせ、では厳しいかな。
会員さんの名簿とかはありますか?
山田 それはあります。
1000人くらいありますが、中には活きていない人も
たくさんあると思います。
忙しくて、チェックできていないので。
伊東 なるほど、わかりました。 じゃあ、何か仕掛けを考えることにしましょう。 とりあえず、案を考えてみます。
山田 よろしくお願いします。
伊東 そしたら、それはそういうこととして。
個別の商品も拝見したいですし、
即効性のある陳列をチェックしていきましょうか?
山田 お願いします。POPも苦手なので...
先日の相談時とは違って、お店の具体的な数字を見て、質問と指摘を繰り返すコンサルタント。まだ30分程度しか経過していませんが、コンサルンタントの一言一言が、山田さんと花子さんの頭には、ビシバシと響いています。売り場では、どんな状況になるのでしょうか?
|
|