経営コンサルティングストーリー 事業再構築物語
地方の小さい会社と自営業者を応援する経営コンサルタント  伊東コンサルティングオフィス
      中小企業診断士  伊東 伸
〒620-0942 京都府福知山市駅南町2丁目170
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事業再構築物語
 
がんばれ! 山田さん
 
 




 
11.コンサルティング開始その3
 

 店内のチェックも終わり...コンサルタントは意外にもこう切り出してきました。


伊東  ところで山田さん。
    山田さんは、お店をどうしたいんですか?
    どんな姿が目標なんでしょう?

山田  えっ?...
    そりゃあ、もっと売上があって、お客さんも増えて
    利益がたくさん出る、といったことが望みですが。

伊東  まあ、そうでしょうけど、具体的には?
    たとえば、店舗が3つも4つもあって、
    全部で売上が、そうですね、たとえば1億で、
    山田さんの収入が2千万ほどあるとか?

山田  そんな夢みたいなことは考えたことがありません。

伊東  まあ、そこまでは考えていないにしても、
    とりあえずの目標の姿はあるでしょう?
    以前お渡しした資料にもあると思いますが。

花子  お父さん、やってないよね?
    伊東さん、すいません、
    いただいたときに見たっきりになっています。

伊東  そうですか、わかりました。
    資料自体は、すぐにやらなくてもいいんですが、
    それでも、具体的な目標の姿がないと、
    これから先に進まないですよね。

山田  とりあえず、普通に生活ができるようにと。
    まずは、そこが目標です。

伊東  なるほど、じゃあ年商で3000万、粗利で1000万と
    いうあたりが、とりあえずの目標ですね。
    そうすれば、収入も600〜700万になるでしょうし。

山田  いや、1000万も無くて大丈夫だと思うんですが。

伊東  今と同じ生活水準を目標にしてちゃあダメですよ。
    お子さんも大きくなったらお金がかかりますし、
    何があるかわからないですからね。

花子  そうね...
    子供の教育費ってこれから必要だわね。
    それに、義父さんたちだって、お年だから
    何があるかわからないし...

伊東  そうです。
    備えれば憂いなし、っていうことですよ。
    じゃあ、この線を目標として動きましょうか。


 さぞかし陳列の欠点を指摘されるのかと思っていた山田さん。予想もしていなかった目標の話に戻って、ちょっと拍子抜け。ところが、それも一瞬のことでした。


伊東  で、その目標を得るためにどうするか?
    ということですが、どうしましょう?
    何か、お考えがありますか?

山田  思いつくことはこれまでにもやってきました。
    セールはもちろんですが、チラシもDMも
    ポイントカードも、何度も繰り返しています。
    これ以上は、ちょっと...

花子  お父さん、
    今までの販促物のファイルを見て貰ったら?

伊東  あ、そんなのがあるのですか。
    じゃあ、お預かりさせてください。
    じっくり拝見させていただきますので。

花子  えーと、これです。よろしくお願いします。

伊東  はい、わかりました。
    この中身はちょっと後回しにさせていただいて。
    山田さん、よーく、聞いてくださいね。

山田  はい。

伊東  売上を増やすために、セールなどのイベントや
    チラシ等の広告などは当然必要です。
    でも、その前に大事なことが一つあります。
    それは、お客さんにとって、このお店がどういった
    ことで役に立つのか? ということです。
    わかりやすくいえば、
    どんな商品を、どんな価格で、どんなお客さんに、
    ということですが、ここを明確にしておくのが
    商売の基本となる部分です。
    これがないと、どんな手法を講じたところで、
    全部空回りしてしまいます。

山田  どんなお客さんに、ってことですか?

伊東  そうです。
    お客さんにとって、衣料品は生活必需品です。
    とはいえ、それはそれぞれの好みや状況によって、
    求められる商品は全然違ったものになりますよね。

山田  はい、それはよくわかっています。

伊東  だったら、今の商品だと、
    少なくてもシーズンに1回、できたら2〜3回
    お買上げいただかないといけないですよね。

山田  そこなんですよ。
    ウチはカジュアルというか、
    普段着からちょっとしたお出かけまで、
    ということで商品を置いているんですが、
    来店されても買わずに帰られたり、
    1回限りになってしまってます。
    なかなかリピーターになってもらえないのが
    大きな問題だと思っています。
    それどころか、昔からのお客さま、
    といっても、もう60歳を超えた方ばかりですが、
    そういう人もだんだん減ってきている。
    それで困っているんです。

伊東  ですよね。
    それをわかっておられるんですから、
    だったら、どうしたらいいか、を考えること。
    それがまず最初にすべきことであって、
    セール等の仕掛けはその後ですよね。

山田  はあ。でもどうしたら...

伊東  まずは、これから対象としようとする客層を、
    きちんと整理することが最優先です。
    先代からのお客さまの高齢者を狙うか、
    ヤングミセスか。
    全然、商品も陳列も異なりますからね。

花子  先生のご意見だとどちらがいいとお思いですか?

伊東  お店の状況や周囲の状況を考えて、
    可能性が高い、ということだけでいうと、
    40代以上のおばちゃんの普段着かな、と思います。

山田  若者向けはダメですか?

伊東  ダメということはありません。
    子供向けでもいいですから。
    ただ、これまでのお客さんを捨てる必要もないし、
    お二人の年齢や周囲の競合、
    また近隣住民の年齢を考えたら、
    おばちゃん層が一番可能性が高い、と思います。

花子  なるほどねえ〜、おばちゃんはお金もあるし。

伊東  そうとは言い切れないですけれど、
    みんながみんな、そこの大型店での購入に
    100%満足しているわけではないですから。
    ですが、今の品揃えや陳列だと、あっちの大型店の
    方がいいということになるでしょうね。

山田  はい...

伊東  おばちゃん層にするかどうかはさておき、
    とりあえず、お二人で智恵を絞って、
    どういったお客さんにどういった商品を提供して
    支持してもらうのか、を考えてください。
    これが1点めです。

山田  わかりました。

伊東  それから2点めは、陳列とPOPを変えて、
    もっともっと元気が出るようにしてみてください。
    ドラッグストアのように、
    黄色を使ってバンバンやると、
    すっごく元気があるように見えますが、
    反面、安っぽくも見えます。
    ブティックのように空間を作ったり、
    おしゃれなPOPをやると、高級感は出ます。
    そういったことは、周囲のお店を見てまわれば、
    感覚的に理解できると思います。
    知識を得るよりその方が身につきます。

花子  なるほど、イメージはなんとなくわかります。
    いわれてみたら、ウチの場合は陳列してある、
    というだけで、価格しかわからないですもんね。

伊東  そういうことです。
    で、それからもう1点。
    3点めですが、過去の顧客リストを全部めくって
    活きている顧客リストに修正してください。

山田  顧客台帳ですか。
    1000人くらいありますけれど、
    さっきも言ったように、全部が全部チェックが
    しきれていませんので...

伊東  だからやらないと。
    何年もご来店いただいていない方には、
    DMも送れないですよね。
    仕掛けたいときに使えなかったら、
    リストの価値がないですから。

山田  はい、わかりました。

伊東  大きくはこの3つです。
    あと、細かいことになりますが....


 山田さんと花子さんにとって、怒涛の2時間が過ぎました。花子さんは、頭の中で何かが弾けたようですが、山田さんは少し放心気味。2人の感覚には、微妙に違いがあるようです。

  
  
 
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